算命学からみる戌月土用考

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本日10月21日から秋の土用にはいりましたよ。

土用とは・・・
立春、立夏、立秋、立冬の四立の前、約18日間の土気、
つまり土用の季節です。十二支では、丑、辰、未、戌の四支です。

一年の推移は季節の循環によります。
算命学の根幹思想の一つである、陰陽思想は、すべては陰と陽、つまり対立する二つが存在するというものですが、
対立し、相反するものであるからこそ、お互いを映し出す鏡となり、引き合い、交合します。
また対立しながら、同時に循環もするのです。
陰の極である冬はやがて陽の気が発動する春となり、陽の極である夏を経て陰の気を
萌す秋となって、また万物が枯死する冬となります。

さらには、唐突に春から夏へ、夏から秋へと変化するわけではなく、そのいずれにも
属さない中間の季節があり、それが各季節の終わりにある土用という18日間です。

ゆえに土用にはこの季節の循環を促すという役目があり、
その特徴はすべてを土に還す死滅作用と、すべてを育みそだてるという母のような育成の作用の
両面があります。
過ぎ去っていく季節を終わりにして、きたるべき季節を迎え入れ、育むという役目ですね。

だからこそ土用には強力な転換作用があるのです

大きな台風がきたり、風が吹き荒れたり(春一番)、また地震が起きたりといったようなことは
強力な転換作用の自然の現象なのですね。
私たち人間もその自然界の一部であるゆえにその強力な死と再生の作用の影響を受けるのです。

現代人は明治以降(太陰太陽暦→太陽暦を採用)すっかりこの土用について無関心になってしまっていますが、
この土用こそ、古代中国思想の根幹に当たる、きわめて重要な思想だということもできるでしょう。

来る冬に向かって、自然界はどのような支度をするでしょう?
にんげんも同じですね。
そしてその先には新しい春を迎えるべく準備を視野に入れる必要があります。

秋は金の気で、象徴される事象は
殺気・刷新・結実・収穫・財宝・堅固・健康(寿命)

万物の成熟と収穫の金気である秋。
わたしたちもここまで種をまき、植え、育ててきました。今だれもが振り返れば必ずなんらかの収穫があるのです。
気づいたこと、できるようになったこと、やり遂げたこと、まずはそれらのことを悦び、自分をほめましょう!!
そして金気の終わりを受け持つこの土用の期間はそれに付随する必要でなくなったもの、手放していいものが
新たに浮上しているかもしれませんね。整理整頓もいいです。また変化させ、刷新し、新たに学んでいくものやプランといったものが浮かんでいる人もいるでしょう。
意識には上がらなくても自然とそうなっていることもあります。

人間関係や仕事の変化、または引っ越しというような場所の変化を経験されている方もいらっしゃるでしょう。

いかがですか?

金の気は万物が生まれ発展していく春の木の気の対極にある殺気の秋であり、金の気は木の気を剋するため
中国では一年の初め(立春)、四季の初めの新春を無事に迎えられるように、
金の気の象徴でもある犬を磔(はりつけ)にする呪術を行ったといいます。
隣の韓国でもお正月に犬に餌を与えない風習があったといいます。
日本でも餅犬、あるいはソバ団子の犬という正月行事が東北地方でみられるようですね。
これらは犬の磔と同じ原理による迎春行事と考えられているそうです。
犬の持つ金の気を抑え込むことで春の木の気を助けているということです。

とても興味深いですね~~!

また金は読んで字のごとく金銀財宝の象徴でもあります。
金銀の色は一般には白いので金気の犬は白色が最も尊いとされていたそうです。
昔話の「花咲爺さん」に登場するここほれ、わんわんの財宝のありかを教える犬は白色でしたよね^^
霊力のある犬の象徴です。
(画像は花咲爺さんの犬とは関係ないです^^)

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また戌は火気のトライアングル(三角形)を作る一つでもあるため犬の肉には温気があるとされて、
お正月行事として犬の肉を食べる風習の国がありますが、
それは身体が暖まると考えているからなのですね。

火は燃えて土となるため、火が土を生み出すという理から考えると土の気の象徴である人間を生み出すのは火。
戌は土でありながら火の要素ももち火から土へとうみだされるその中心にあるので戌、つまり犬を人間を生み出したもの(祖)であるとして信仰の対象としたのです。

狛犬、神社を守る狛犬はどうして犬なのか、理由はこんなところにあるのでしょうか?

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妊婦さんがする腹帯もそうですね。戌が火の気をもつのでお腹を冷やさないことにもなるでしょうし、
地方によって違いはありますが、戌の日に行う帯祝の風習は全国共通ですね~~
日取り:五か月目、または七か月目の戌の日
(五は土気、七は火気の数)
帯の色:赤(紅)・・火気、白・・・金気、黄色・・・土気
配りもの:お餅を配る。お餅は白(金気)小豆餡(土気)や赤色(火気)の地方もあり。

お産の軽い犬にあやかって、、と言われる『戌の日』の腹帯。その真の理由には、戌の持つ気の象徴が
あると考えずにはいられません。

また犬張子は、室町時代から公家の産室のお守りとして置かれた犬箱に起源があり、
現在でも皇室では使われるそうです。
民間でもそれをまねて作った犬張子を江戸後期から嫁入り道具にも加えられたとのこと。
まさに呪物ですね!!
犬をにんげんの祖として崇める犬祖伝説は沖縄宮古島にもあるそうです。

神道の祭祀、道教、仏教の一部はこれら陰陽五行や十二支の考えに基づていることがわかりますし、
日本の祭りや行事もそうであるのに、その鍵である陰陽五行が明治期の識者によって否定されたために、
なんでも迷信として片づけられてしまっているのが残念ですね。

先人達は、陰陽五行や十二支の考えによって神の祭りの日を決めたり、 次の年を予測して作物の豊凶を予知し、その予防法を講じてきたのです。

先人達の智慧に学ぶところは大きいですね。

皆さんはこの戌の土用、どのように過ごされますか?

参考文献:隠された神々、陰陽五行と日本の民族、十二支

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