北海道旭岳にて

 

北海道から戻って5日余りがたちました。

初めて眼前に見た旭岳はほんとうに美しかった!!

アメリカにMt.シャスタという山があるのですが、旭岳を写真で見たときにまさに、シャスタ山だと、シャスタとシャスティーナそのものだ!!と思いましたが、ほんとうにその通りでしたね!

旭岳のふもとの川といい、伏流水の源流といい、なにからなにまで
シャスタと酷似していましたね。

25日から27日のお昼まで参加したKan.さんのリトリート。

リトリートの内容はお話することができないのですが、
毎日降るような星空と美しい旭岳の姿を見ながら、
言葉にならない、言葉にできない感動がありました。

奥深いところに受け取った種がどんなふうに発芽し、成長していくかは
個々に違うと思いますが、それぞれが大切なものに触れた3日間だったなあと思います。

スタッフの皆さんにも感謝でいっぱいです。

私の心をつかんで離さない旭岳にどうしてもどうしても登ってみたかったので、最終日はお昼を食べるとぽつぽつと雨が降り出したのですが、
今日しかない、と思い、とにかくロープウェイで登ってみることにしました。

ロープウェイ乗り場まで行く間にかなりの雨が降ってきました。

 

山用のカッパの下には毛糸の帽子と手袋。

残念ながら靴は用意していなかったので、ロープウェイ頂上の小屋で長靴を借りることにしました。5月いっぱい長靴貸出は無料です。
男性用女性用、色々なサイズの長靴がずらりと並んでいました。

積雪の山を登っていくロープウェイに乗っていたのは二人だけでした。

山肌が近くなり、高く上るにつれて、とても神聖な気持ちになって自然と涙があふれてきました。

雨はどんどん本格的になり、頂上小屋についたとき、積雪も120センチ。雨も降っているし、ああ、山を歩くのは無理だな~と内心思いました。

観光客の方もちらほらとはいらっしゃいましたが、みなさんロープウエイ小屋から出ることなく、記念写真をとっていらっしゃいました。

私も小屋の中からじ~っと旭岳を見つめながら、ちょっとでいいからもう少し近づきたいなという想いがどうしても止められず、ロープウェイ小屋のお兄さんに聞いてみたのです。

雨は降っているけれど視界はクリアで、旭岳もはっきりと見える。
ただ積雪のために下がないところがわかりにくい。

気を付けてとしか言いようがない。と。

すべては自己責任。

とりあえず第一展望台まで行ってみようと小屋を出ました。

顔にあたる雨が痛いほど。

第一展望台までは難なく行けました。
ここで観光客風の傘をさしたご夫婦に出逢いました。
山に傘?と思ったのですが、昨年もきていらっしゃって歩いたとおっしゃっていたので、二人だし大丈夫だろうなんて、この時まではまだ
他人を気遣っていたのですよ。
お互いに気を付けましょうなんて声を掛け合いました。

噴気孔がもう少し先に見えている。

なんとか噴気孔まで行きたい。と思い、もう少し進むことにしました。

遠くに向うから帰ってくる人も見えたので、

人の足跡のあるところを選んで進みました。

噴気孔に近づくにつれて、吹き出す硫黄で鼻がツンとする。
前が見にくくなりました。

写真の煙のように見えているのが噴気孔からでている硫黄です。

あと少しで噴気孔を覗けそう!と思ったとき、
右足がずぼっと音を立てて雪の中に吸い込まれたのです。

一瞬、やばい!と感じて動揺しました。

落ち着け落ち着け、と自分に言い聞かせて
足を抜こうとするのだけれど、長靴が奥深くまではいってしまっていて、どうにもこうにも長靴をはいたままでは足が抜けません。
仕方がないのでなんとか足だけを抜きました。

腕を肩まで雪の中にいれて長靴のはしをつかんで引っ張り出そうと
何度も何度もやってみました。

雨でかなり濡れてきていて手袋も滑るから手袋をとって雪の上に座り込んで必死に格闘するも、雪の重みでどんどんと埋まっていくようで
どうにもこうにもならないのです。

どうしよう。。。

長靴を諦めるか、長靴を出すまで頑張るか・・・
周りには誰もいない不安、途中で出会ったご夫婦がここに来るとは限らないし、助けを呼ぶのは無理だと判断しました。

早く決断しないと長靴のない足もかなり濡れてきて冷えてくる。

もう長靴は諦めよう。と決めるのに時間はかかりませんでした。

大丈夫、私は絶対に長靴がなくても小屋まで帰れる。大丈夫!!と
自分に言い聞かせて。

足が寒さでしびれて動かなくなる前に小屋まで走ろう!と
できるだけ右足が雪に触れる時間を最小限にする気持ちで走ったのです。

心は泣きそうだったけれど、頑張るしかない。

ロープウエイに向かってとにかく走って走りました。

これまでの人生で一番速く走ったかもしれない。

小屋が目の前に見えたときの安堵感といったら!!

長靴をはいていたほうにもたんまりと雪がはいっていました。

急いで靴下を脱いで持っていたタオルやハンカチを総動員して
何度も乾布摩擦をするようにふいて、ふいて、暖めました。

色がかなり紫色になって動かなくなっていた指もだんだん動くようになって、心も落ち着いてきました。

小屋のお兄さんを探して、長靴を片方おいてきてしまったことを
お詫びする。

夏になって雪が解けたら、私のお借りした長靴を見つけてくださいね。

ほんとうにごめんなさい。

わたしはこれまで、登山もしてきているけれど、山の美しい、素晴らしい一面しか見てこなかった。

ちょっとでも甘くみたら、大自然は危険と隣り合わせ。

噴気孔の近くまで行ったとき、ほんとうはちょっと怖いと思ったの。

でも行きたい欲が勝ってしまい、心の声をかき消した。

山がその時の私をOKしていなかったところに行こうとしたのかもしれない。

強硬突破しようとした私は鉄槌を食らった感じだけど、
長靴を早々に諦めて戻ることを選んだことが結果として良かったように思う。

長靴がなければ雪の上を歩けないし、借りたものだから、と最初は長靴にこだわろうとしたんだけどね。

自然の中に分け入る時、自然の声を聴くこと。
その声にちゃんと耳を傾けること。

大切なことだね。

 

 

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