鏑木清方展@東京国立近代美術館
鏑木清方展に行ってきました。
没後50年
美人画で有名な方という認識だけで作品を生で観たことはなかったの。
(家のわりと近くに鏑木清方美術館もあるのに、、出逢えないときは出逢わないものだ)
美しい人を描いた作品はもちろん美しいのだけれど、
庶民のどこにでもあるような日常を描く鏑木さんのまなざしがとても素晴らしかった!!
ちらしにあるように
「なんでもない一瞬がなによりも美しい」ということを
鏑木さんはその作品を通して言葉よりも雄弁に語っているのだな~と。
私は美術館や博物館に行くのが子供の頃からすごく好きで・・
でも
いつの頃からか
(子供の時はそうでなかったとおもうのだけれど)
観る前にその作者や絵画について調べて知識を得たり
行けば行ったで、
キャプションや年表を念入りに読んだり、音声ガイドを聴いたり・・
「知る(知識を得る)」ということに思った以上に大きなエネルギーを使うことを
しているんじゃないか・・・って思ってね・・・
知識を得ることが良くないって言う意味じゃなくて、
知識を得ることや知っているということが何か大切なものに触れる機会を逃しているんじゃないか、ということを最近ふと感じたのですよ。
それでね
今回は
頭の声や音声ガイドや
知識というものをいったん脇において
ただただ、ひたすらに、
沈黙の中で作品と対峙してみようと思って出かけていったの。
これまで観たことがなかったものなら、なおさら知識もないし。
最初のうちは
沈黙が難しくて・・・苦笑
なぜってね
これはいつ頃描いた作品かしら・・
これは誰を描いた物なのかしら・・
どんなテーマを持って描かれたのかしら・・
そんなことが気になったり、頭をよぎるたび、
わたしの想像ははたして正しいのか、正しくないのか・・
(ほんとうは正しいか正しくないかなんてどうでもいいことなんだと思うのだけれど)
そんな思いが邪魔をして
ついついキャプションを読みたくなってしまうのだなあ。。。。。
時々絵を鑑賞しながら友人同士で絵の解説をしている人たちがいるでしょう?
その声につい、耳をそばだててしまっている私がいることに気づいたりして・・・
あ~~~、また求めてる。。。わたし 笑
自分を鎮めて、黙ることが簡単にはできなくて苦戦。
それでも心を奪われる作品のまえにたつと、
一瞬で静かになり、知らず知らずに訪れている沈黙。
だんだんに
ただひたすら黙って、静かに絵と向き合って、絵の前に立ち
ときにはまなこを閉じて、まぶたに残る像の余韻に浸ったりしているうちにね、
解説を欲するわたしもいなくなっていて
そうしたらね
思いもかけなかったような豊かで、深くて、美しい世界が広がっていたの。
自分でも すごく すごく びっくり!!
と。。。言葉にすると、どうしてこうも陳腐になってしまうのだろうかね。
あの悦び?っていうのかな、を言葉にするのはとても難しいわあ
鏑木さんのひととなりや、人生や年表を知ってこそ
きづくこともあるかもしれない。きっとあるでしょう。
けれどたとえ知っていたとしても
この、沈黙がもたらしてくれるものの豊かさや美しさや感動は、
知識による気づきを超えていくのではないかとさえ思える。
鏑木清方展 とても と~~っても 感動!!!
特に心を奪われたものがふたつ
それは重要文化財に認定された作品でもなく、
賞を受賞した作品でもなかった。
これほどまでに清らかな情景があるのかと思うほどの圧倒的な清らかさを放つ作品
がひとつ。
その瞬間が恩寵としてもたらされる大自然の清らかさにかなうものなんて人工物のなかにはないのではないか、とずっと思っていたけれど、いや、あるではないか、と一瞬でこころを奪われて、見入った作品。
それと並んで、
芸妓さん?が踏み絵をしようとしている姿が描かれた作品がありました。
(あとで知ったのですが、長崎の遊女だそうです。隠れキリシタンだったのでしょうかね)
その遊女の姿はとびっきり美しくて着物も帯も豪華絢爛そのものなんだけれど、
今まさに踏み絵をしなければならないその瞬間のはだしの白い足があまりにも小さく、切なく、弱々しく、けれど強く感じられて、改宗しなければ生きてはいけなかったのであろうその時代と遊女の環境が胸にせまり、着物の黒がよりいっそうの美しさを際立たせていてとてもとても素晴らしかった。
庶民の生活のようすがとてもみずみずしく、細やかな描写がまるでそこにいるかのように思わせてくれて、しかもどれも美しくて、
着物の素材の質感や柄が季節を描き出していてほんとうに素晴らしい作品ばかり。
お着物を着て鑑賞していた女性も多く、
若い男性がちらほらとひとりで鑑賞されていたのにもけっこう驚いた私。
鏑木ファンがたくさんいらっしゃるのですね~~~
私もすっかりファンになりましたが・・・(笑´∀`)
着物好きの方にもお勧めしたいなあ。
袖からちらとのぞく襦袢の色や柄、帯との色合わせ、どれもこれも
作品のなかの着物がみなとっても素敵だから。
会期は5月8日までですが、わたしのお気に入りの二枚は17日まで(*^-^*)
みなさんも是非観にいかれてみてはいかがですか?
沈黙とともに・・・お勧めしたいな^^